リードナーチャリングとは?5ステップと9つの手法を使った全体設計を解説!

公開: 2024年12月10日
更新: 2024年12月12日
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リードナーチャリングとは、見込み客(リード)に継続的に接触を行い、関心を深めて購入準備を整えるプロセスのことです。ただリードを獲得するだけではなく、そのリードを育てて成果につなげることの重要性は、多くの企業で認識されているかと思います。しかし、リードナーチャリングを単体で捉えてしまい、全体設計が不十分な場合、効果的なリードナーチャリングを実現することは難しいのが現実です。

 

本記事では、リードナーチャリングを成功させるために欠かせない「5つのステップ」と「9つの手法」を詳しく解説します。ただ単にリードナーチャリング単体の話にとどまらず、BtoBマーケティング全体の流れの中で、どのようにリードナーチャリングを組み込み、設計すべきかについても掘り下げていきます。マーケティング戦略をさらに進化させたい方・初期の段階で全体像を把握したうえでマーケティング戦略を構築したい方はぜひご覧ください。

 

目次

リードナーチャリングとは

リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、見込み客(リード)との関係を構築し、彼らが購買決定を行う準備が整うまで支援を続けるプロセスを指します。BtoBマーケティングにおいては、リードナーチャリングは重要な施策の一つです。なぜなら、顧客が最初に製品やサービスに関心を持った段階では、必ずしも購入を決定するわけではないからです。そのため、リードに対して有益な情報を提供し、信頼を築くことが成功に繋がります。

BtoBマーケティングの全体像

BtoBマーケティングは、リードジェネレーション(見込み客を集める)、リードナーチャリング(関心を深めて購入準備を整える)、リードクオリフィケーション(購入可能性の高いリードを特定する)という3つのプロセスで成り立っています。これらを通じて、ターゲット企業に対して効果的にアプローチし、最終的に成約へと導きます。

リードジェネレーションとは

リードジェネレーション(Lead Generation)は、見込み客を集めるプロセスです。このステップでは、ターゲットとなる企業や人物に対して、自社の製品やサービスを認知してもらうことを目的としています。

リードナーチャリングとは

リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、集めた見込み客に対して継続的に接触を行い、関心を深めて購入準備を整えるプロセスです。見込み客が製品を購入する準備が整うまで、情報提供やサポートを通じてリードを育てます。

リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーション(Lead Qualification)は、集めたリードの中から、購入意欲が高い、または即時に営業アクションを起こすべきリードを特定するプロセスです。これにより、リソースを効率的に使い、最も有望なリードに注力することができます。

なぜリードナーチャリングが重要なのか?

ここではリードナーチャリングが重要と言われる4つの観点について解説します。

法人の購買決定プロセスへの対応するため

BtoBの購買決定プロセスは非常に長期間にわたることが多く、数ヶ月から時には数年かかる場合もあります。このプロセスには、複数の部門や意思決定者が関与し、慎重に検討が行われるため、リードナーチャリングはその進行をサポートする重要な役割を果たします。リードが関心を持ち続けるために、長期的な関係を構築し、適切なタイミングで有益な情報を提供することが非常に重要です。

顧客リストの有効活用するため

新規リードの獲得には追加の予算が必要となるため、現状持っている顧客リストを有効活用することはコスト削減に直結します。既存のリードは、すでに自社の製品やサービスに関心を持っている可能性が高いため、これらのリードに対してリードナーチャリングを行うことで、効率的に営業活動を進めることができます。新規リード獲得にかかるコストを削減しつつ、既存リードを育てることができれば、マーケティングや営業活動のROI(投資対効果)を大きく向上させることができます。

受注タイミングを正しく把握するため

リードナーチャリングが適切に行われていないと、リード獲得から商談化までのプロセスがブラックボックス化してしまい、その結果、受注タイミングが正しく把握できなくなってしまいます。リードナーチャリングを通じてリードの関心度や進捗状況を明確に把握することで、マーケティング予算の配分や人員配置の最適化にも繋がります。

メディアの多様化に対応するため

コロナ禍を経て、BtoBのコミュニケーションは大きく変化しました。オンラインでのやり取りが一般化し、リモートワークやオンラインイベントが日常的になったことで、コミュニケーションチャネルが多様化しています。さらに、業界・ターゲット部署・ターゲットの役職によって日々接しているメディアは異なるため、漫然と顧客に接点を持つのではなく、戦略的にリードナーチャリングすることが重要性が高まっています。

リードナーチャリングの9つの手法

1. メルマガ

メルマガは、コストをあまりかけずに行うことができるため、特に予算に制約のある場合には非常に有効です。また、ターゲット業界やターゲット年齢によるものの、メールでの連絡は多くの企業で定番のコミュニケーション手段として用いられており、一定の信頼性を持っています。

BtoBのリードナーチャリングでは、ニーズの顕在化までに時間がかかることが多いため、定期的に接点を持ち続けることが重要なので、比較的コストを抑えられるメルマガで定期的に接点を持つというのは非常に有効な手段といえます。

2. One to Oneメール

メルマガは定期的に接点を持つのに有効ですが、不特定多数に向けた発信のみだと、開封率が課題になることがあります。受信者がメルマガの内容に関心を持ち続けるためには、ターゲット層にとって有益な情報を提供し、興味を引き続ける必要があります。

そのため、業界や役職・過去の接点の有無などでセグメント分けを行い、個別にOne to Oneでメールを送ることが非常に有効です。このアプローチにより、リードに対してよりパーソナライズされた情報を提供することができ、関心を引きやすくなります。

3. DM(ダイレクトメール)送付

BtoBのリードナーチャリングにおける課題の一つに、リードからの反応が全く取れなくなり、コールドリード化してしまうことがあります。このような際に有効な手段の一つとして、DM送付が挙げられます。印刷物として手元に残る形で情報を提供することで、再度リードの関心を引き、反応を促すことができます。

DM(ダイレクトメール)送付は、新サービスのリリースや大きな発表がある場合に他のメディアでは得られないインパクトを与えることができるので非常に有効です。

また、経営者や役員レイヤーなどのリード情報をバイネームで持っている際には、DM送付は特に効果的です。パーソナライズされた内容で、ターゲットに向けて直接的にアプローチすることができ、リードの関心を引きやすくなります。

4. セミナー

セミナーはBtoBのリードナーチャリングにおいて非常に効果的な手法の一つです。

メールやSEOコラム、ホワイトペーパーなどの文字や図を主体としたメディアでは伝えきれないような、詳細で具体的な情報を伝えることができるのが、セミナーの大きな特徴です。特に、業界のトレンドや製品のデモンストレーション、事例紹介など、視覚的な要素が加わることで、より深く理解してもらいやすくなります。

また、セミナーはクローズドな場であるため、不特定多数に発信しにくい現場感のある情報や、業界のトレンドに関する深い話なども発信することができます。この点は、他のメディアとの大きな違いです。

さらに、セミナーでは参加者から質問を受け、それにリアルタイムで回答することができるため、双方向のやり取りが可能です。このように、参加者とのインタラクションを通じて、より強い関係を築くことができ、リードナーチャリングをさらに効果的に進めることができます。

5. オウンドメディア

オウンドメディアは、企業が自ら所有し運営するメディアであり、リードナーチャリングにおいて非常に重要な役割を果たします。オウンドメディアの大きなメリットは、情報を蓄積することで、単発の課題解決コンテンツにとどまらず、ターゲットユーザーが抱えるさまざまな悩みに対して網羅的に情報を発信できる点です。これにより、リードは自社の製品やサービスがどのように問題解決に貢献できるかを深く理解しやすくなります。

また、オウンドメディアは情報が蓄積されていくことで、時間が経つほどに価値ある資産となります。過去に発信したコンテンツが、後から訪問したユーザーにも役立つ情報としてアクセスされるため、持続的な効果が期待できます。

6. リターゲティング広告

リターゲティング広告は、過去に自社のウェブサイトやコンテンツを訪問したリードに再度アプローチできる広告です。すでに自社の製品やサービスに関心を示している可能性が高いため、再度広告を表示させることで、その関心を維持し、さらに引き寄せることができます。

例えば、比較検討の段階にあるユーザーがホワイトペーパーをダウンロードした場合には、個別相談会や製品デモンストレーションといった自社商材の詳細を紹介するようなコンテンツの案内をリターゲティング広告で表示させることが有効です。このように、リードの行動に基づいたパーソナライズされた広告を提供することで、リードの購買意欲をさらに高め、次のステップへと導くことができます。

7. ホワイトペーパー(eBook)

ホワイトペーパーとは、特定のテーマに関する詳細情報を図や表も交えてスライド形式やeBook形式でまとめた資料です。

例えば、ターゲットが必要としている最新の業界トレンドや業界別の課題解決法、業務改善チェックリストなどを提供することで、ターゲットとの信頼関係を築くことができます。また、専門的な知識や情報を提供することで、企業の信頼性を高めることにも繋がります。

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8. YouTube

BtoBのコミュニケーションでもYouTubeを活用する事例が増えてきています。リードナーチャリングにおいて、他社製品との違いやシステムの画面を使ってのサービス説明を行う際に、視覚的に操作方法や機能を見せることができる動画は非常に有効です。

また、YouTubeはオウンドメディアのように資産性があり、動画コンテンツが蓄積されていくため、後からも繰り返し視聴される可能性があります。これにより、継続的にリードナーチャリングに活用することができ、時間が経つにつれて効果が高まる点が特徴です。

さらに、YouTubeはリード獲得(リードジェネレーション)としても有効な手法です。動画内にCTA(コール・トゥ・アクション)を設定したり、説明欄にリンクを貼ることで、視聴者をウェブサイトやランディングページに誘導し、リードとして獲得することが可能です。

9. フォロー架電

フォロー架電も、リードナーチャリングにおいて効果的な手段です。セミナー参加時やホワイトペーパーダウンロード時など、リードが自社に関心を示した際にフォロー架電を行うことは、さらに関心を深めてもらうために有効です。これにより、リードがどのような情報を求めているのか、どのような課題やお困りごとを抱えているのかを直接確認することができ、よりパーソナライズされたアクションに繋げることができます。

リードナーチャリングの5つのステップ

リードナーチャリングは以下の5つのステップで進行します。

1. リードの情報を統合しデータベースを作成する

リードナーチャリングの最初のステップとして、リードの情報を統合し、データベースを作成することが挙げられます。この段階では、自社が過去に接点を持ったすべての顧客やリードの情報を統合し、管理できるようにします。

リード情報の統合には、マーケティング・オートメーション・ツールが非常に便利です。これらのツールを使用することで、リードの情報を一元管理し、リードの進捗状況や過去のやり取りを簡単に追跡できるため、ナーチャリング活動をより効率的に進めることができます。

2. データベースをセグメンテーションする

リード情報を統合した後、次に行うべきはデータベースをセグメンテーションすることです。セグメントすることによって、リードをさまざまなグループに分類し、それぞれに適切なアプローチが可能となります。具体的には、業界や規模、関心度、反応有無などを基にリードをセグメント化します。例えば、業界別にアプローチ方法を変えることで、リードのニーズに合わせた提案ができますし、関心度や反応の有無に応じて、さらにターゲットを絞り込むことができます。

さらに、現状で接点を持っているリードにはどのような傾向があるのかを洗い出すことも重要です。過去のデータを分析し、どの業界やどの規模のリードが反応しやすかったのか、どのタイミングでリードが関心を示したのかを明確にすることで、今後のセグメントに役立てることができます。これにより、より精度高く、効果的なリードナーチャリングが可能になります。

3. ナーチャリングの対象となるペルソナを作成する

ペルソナの例

ナーチャリングの対象となるペルソナを作成する際には、企業、部署、個人のそれぞれのペルソナを定義することが重要です。まず、企業レベルではターゲットとなる業種や規模、課題を特定します。次に、部署レベルでは、特定の部署が抱えるニーズや目標を理解することが求められます。そして、最終的には個人レベルでのペルソナを作成し、その担当者がどのような情報やサポートを必要としているかを明確にします。このように、複数の視点からペルソナを設計することで、より効果的にリードをナーチャリングすることができます。

4. カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを購入・利用するまでのプロセスを可視化した図です。ペルソナごとに作成し、ターゲットが抱える課題や求める解決策に合わせたアプローチを設計します。

ジャーニーの各フェーズでターゲットが求める情報や使用するチャネルは異なります。例えば、情報収集の段階では業界の最新動向に関するメルマガや業界トップランナーを招いたセミナーが有効です。一方、比較検討の段階では、他社製品との比較ホワイトペーパーやオンラインセミナーが有効です。

セミナーという同じ手法でも、カスタマージャーニーの段階によって提供すべきコンテンツは異なります。段階に応じて最適な情報を提供することで、リードの関心を引き続き高め、次のステップへ導くことができます。

5. 施策を実行し効果検証を繰り返す

リードナーチャリングで実行すべきアクションが確定したら、施策を実行し、効果検証を行います。効果検証をする際には各施策の目標を明確にすることが不可欠です。例えば、「従業員数◯名以上の金融業界の大手顧客を◯件商談化する」といった具体的な目標を設定することで、成果を測定しやすくなります。効果的な施策は強化し、改善点を次に活かすことで、リードナーチャリングの精度を高めていきます。

リードナーチャリングで効果を出すポイント

ここからはリードナーチャリングで効果を出すポイントについて解説します。

カスタマージャーニーマップを作成し全体設計をする

ナーチャリング施策を単体で見るのではなく、カスタマージャーニーマップを作成し、ターゲットがどのタイミングでどの情報を欲しいかを明確にすることが重要です。これにより、必要なコンテンツやアクションが把握でき、効果的なアプローチが可能になります。

また、カスタマージャーニーマップを作成することで、現状のコンテンツと今後制作すべきコンテンツがわかり、計画的に準備できます。さらに、カスタマージャーニーマップによる全体設計は、どの段階で歩留まりが起きているのかの把握にも有効です。

リードのスコアリングを行う

リードのスコアリングは、業界、規模、役職などの情報に加え、セミナー参加やホワイトペーパーのダウンロードといった行動記録も含めて行います。例えば、決済者の場合は+5点、セミナー参加者は+3点など、リードの行動や属性に応じてスコアを付けることが重要です。

スコアに応じてアプローチ方法を変えることで、より効率的にナーチャリングが進められ、適切なタイミングで適切な内容のアプローチを行うことが可能になります。これにより、リードの関心を引き、商談化の可能性を高めることができます。

チーム・部門での連携を密に行う

ペルソナやカスタマージャーニーをチーム・部門で共有しながらナーチャリングを進めることが重要です。両部門が連携し、同じ目標に向かって活動することで、リードに対して一貫したメッセージを届けることができます。

例えば、マーケティングとセールスでの情報共有が正しく行われていないと、顧客に不信感を与えてしまい、ナーチャリングがうまく進まなくなります。情報の共有と連携が取れていれば、リードに対して効果的かつスムーズにアプローチでき、商談化の確率を高めることができます。

月間40本以上のウェビナーを開催しリードナーチャリングに成功した事例

ベルフェイス株式会社では、どのようなリードナーチャリングが有効であるかの検証のプロセスにおいてカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーが知りたい情報を徹底的に洗い出しました。その結果、ユーザーは多くの疑問を抱えており、それに応えるためには、ほぼ毎日ウェビナーを開催する必要があることが明らかになりました。

これを受け、ベルフェイスでは月間40本以上のウェビナーを開催し、ユーザーが解決したい課題(=営業における様々な悩み)にフォーカスしたコンテンツを提供しました。自社の専門性が際立つオリジナルコンテンツを作成し、ユーザーに寄り添った情報提供を実現しました。愚直にPDCAを回し続けた結果、ウェビナーを通じて提供した価値が、紹介や口コミを通じて広がり、リードナーチャリングの成功に繋がっています。

ベルフェイス株式会社の事例はこちら

リードナーチャリングだけでなくBtoBマーケティング全体像を意識して設計しましょう

リードナーチャリング単体で考えるのではなく、リード獲得(リードジェネレーション)の段階からどのような接点を持ち、どのようにして商談までつなげるのかの一連の流れをデザインすることが重要です。

そのためには、企業・部署・担当のペルソナを設定し、ペルソナがどのようなことに悩み、どのような情報を欲しているのかをカスタマージャーニーマップを通して深掘りすることが必要です。このようにペルソナに基づいたマーケティング戦略を構築することで、リードに対する理解が深まり、より精度の高いリードナーチャリングが可能になります。

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