BtoBマーケティングの手法25選 | 目的別の施策とポイントをご紹介
この記事では、「これからBtoBマーケティングに取り組む」「マーケティング施策についてあらためて詳しく知りたい」という方に向けて、目的別にどんな施策があるのかをご紹介します。そして各施策のポイントについても解説しますので、ぜひご参考ください。
BtoBマーケティングとは?取り組む際のポイント
まずはBtoBマーケティングに取り組む際のポイントについて解説します。
BtoBマーケティングとは?
BtoBとは「Business to Business」の略で、BtoBマーケティングとは「企業が企業に対して商品やサービスを提供するビジネスモデル」を前提として行われるマーケティング活動のことです。
似た言葉でBtoCがありますが、これは「Business to Consumer」の略で、「企業が一般消費者に対して商品やサービスを提供するビジネスモデル」のことを指します。
BtoBマーケティングに取り組む際のポイント
BtoBマーケティングに取り組む際のポイントは「BtoCマーケティングと違い、購買・契約までにかかる期間が長い」ため、顧客の購買プロセスに合わせて、適切な施策を実施することが必要です。比較的短期間で効果を出すには、既存の顧客情報に対しアプローチし、商談や案件に繋げる方法が挙げられます。
BtoBマーケティングのサイクルの紹介
顧客の購買プロセスに合わせて正しい施策でアプローチするために、マーケティングの流れを確認していきましょう。
BtoBマーケティングのサイクルには以下のような8つの流れがあります。
1:顧客のニーズを知る(顧客の課題は何なのかを把握すること)
2:売れる商品を作る(顧客の課題解決につながるサービス・商品をつくること)
3:見込客を獲得する(サービス・商品を購入する可能性の高い顧客の情報を獲得すること)
4:見込客を育成する(購入につながるよう、見込み顧客との関係を築いていくこと)
5:案件化・商談化(見込み顧客に対し、商談になるようアプローチしていくこと)
6:受注(実際に受注を獲得すること)
7:顧客維持(受注した顧客に対し定期的にアプローチを続け、利益を最大化すること)
8:顧客満足度調査(顧客の満足度や課題を調査し、サービスや商品の改善につなげること)
ビジネスを拡大させるには、これらの施策サイクルを継続的に行う必要があります。
目的別!BtoBマーケティングの施策紹介
目的別BtoBマーケティングの施策紹介
では、実際にBtoBマーケティングの施策について、「リードを獲得する」「リードを育成する」「案件/商談化・受注する」「顧客維持」「顧客満足度調査」の5つの目的に分けて、具体的にご紹介していきます。
リードを獲得する
リードとは「見込み顧客」のことで、サービスや商品の購入につながる可能性の高い顧客を指します。リード獲得とは「見込み顧客を見つけ、獲得するためのマーケティング活動」のことで、具体的にはターゲットとの接点を作り、顧客の情報を開示してもらい、アプローチをして関係性を深めた上で、サービスや商品の購入に繋げることを言います。またリード獲得はリードジェネレーションとも呼ばれます。
オンライン(Web)のリード獲得施策
オンライン上で行うリード獲得施策には、以下のようなものがあります。
Web広告
Web広告とは、オンライン上のメディアやSNS、動画プラットフォーム、メールなどに掲載される広告のことです。従来のマス広告と比較すると、ターゲティングがしやすく費用対効果を高めやすいこと、効果測定がしやすいことなどが特徴です。ここでは主要なWeb広告について解説します。
リスティング広告
リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索したキーワードをもとに検索結果画面に表示されるテキスト形式の広告です。ユーザーが興味を持っているキーワードに連動して広告が表示されるため、サービスや商品に関心が高い顧客層のリードを獲得することができます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ内の広告掲載スペースに表示される画像や動画広告です。画像や動画とテキストを組み合わせたバナー形式で表示されることが多く「バナー広告」とも呼ばれます。リスティング広告とは異なり、自社サービスに興味がありそうな潜在層を狙ったリード獲得に適しています。
Facebook広告/Instagram広告
Facebook広告は、Facebook内フィード投稿画面などに配信できる広告です。世界最大規模の数のユーザー数に対し、ユーザーデータを基に高精度なターゲティングで広告配信できることが特徴です。
Instagram広告も同様にFacebook社が提供する広告で、Instagram上に広告を配信することができます。Instagramは写真や動画の投稿に特化したSNSのため、クリエイティブが重要な要素となります。
X広告(旧Twitter広告)
X広告は、X上の検索結果やタイムラインに表示される広告のことで、特定のキーワードでツイートした人に対して広告配信することも可能です。またユーザーの興味・関心・ツイートや検索をもとに、さまざまなターゲティング配信を行うことができます。
YouTube広告
YouTube広告は、YouTube上に配信できる広告のことです。検索結果画面や、再生動画の前後、再生中に広告を配信でき、ターゲットの年齢や性別、興味関心などによってターゲティングを変えることが可能です。
SNS運用
次にSNSの運用についてご紹介します。SNS運用とは企業がSNSアカウントを使用して、サービスや商品の認知拡大・宣伝・リード獲得に繋げるために情報発信することを指します。SNSには様々なプラットフォームがありますが、今回は発信方法別でご紹介します。
公式アカウント
BtoBマーケティングでのSNS公式アカウント運用で成果を出すのは難しいと言えます。BtoCではユーザーがSNSに口コミを投稿することがありますが、BtoBで利用しているサービスについてSNSで情報を共有する人は少なく、口コミが表に出づらく拡散しにくいことが理由です。また炎上リスクや、SNS特有のコミュニケーションが企業間では成り立たないことが多いことから、公式アカウントでの発信はPRや告知目的での利用に適していると考えられます。
個人アカウント
一方で個人アカウントでのSNS運用は「個人のビジネスアカウント」として運用すれば、BtoBマーケティングでもリード獲得につながる可能性があります。ブログなどの情報発信と同様に、代表や社員の発信により認知を拡大し、企業の価値を伝えることができます。また実績やノウハウ提供などの情報発信を通して、情報を求めているターゲットのリード獲得に繋げることができます。
ビジネスブログ執筆
ビジネスブログの執筆はSNSの個人アカウント運用と同様に、BtoBマーケティングにとって有効な施策です。ブログの読者にサービスや商品のペルソナを設定し、ノウハウや専門的な情報を発信し、SNSなどで拡散することで有効なリードにつながる可能性があります。具体的にはビジネスブログで活用されるサービスには、noteやはてなブログなどが挙げられます。
SEO(検索エンジン最適化)
SEOとはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略で、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、自社のサイトが検索結果の上位に表示されるように施策を行うことを指します。
オウンドメディアの運営
オウンドメディアとは企業が自社で保有するメディアのことで、主にWebで運営するメディアを指します。サービスサイト内や別ドメインでブログなどのコンテンツを掲載し、特定のキーワードで上位表示されるよう施策を実行し、コンテンツページから見込み顧客のリードを獲得します。
WebサイトやLPの改善
次にリード獲得の重要な施策として、Webサイトやランディングページ(LP)の改善について解説します。せっかく集客や認知拡大に力を入れても、訪れたユーザーに対して「自社の課題を解決できるサービスや商品」だと感じてもらえないと、リード獲得につながりません。では、どのようなポイントを見直す必要があるか見ていきましょう。
CV(コンバージョン)ポイント・導線の見直し
まずCV(コンバージョン)ポイントとは、サイトを訪れたユーザーが目標達成に至るアクションを起こす場所を指します。具体的なCVポイントとしては「お問い合わせ」「資料請求」「会員登録」「購入」などが挙げられます。
この一番大切なCVポイントと、CVポイントまでの導線の見直しをすることをおすすめします。また、いきなり「購入」や「申し込み」まで繋げるのはハードルが高いため、CVポイントを複数用意し、ユーザーが入りやすい入口を設けることが効果的です。具体的には「お役立ち資料のダウンロード」や「無料トライアル」などが挙げられます。
またCVポイントまでの導線の見直しとして、ユーザーが行動しやすいようにサイト内の導線設計を見直すことも重要です。
メインビジュアルやコピーテキストの改善
メインビジュアルやコピーテキストの改善も重要です。「ターゲットの課題を解決できるサービスや商品である」ことが伝わるメインビジュアルや訴求文言になっているかを確認・改善することが大切です。
導入実績・導入企業の事例掲載
あわせて「どのような企業が導入していて、どのような実績があるのか」の紹介は、ターゲットの意欲を高めるために有効と言えます。ターゲットの参考になる事例をセレクトして掲載するようにしましょう。
入力フォームの最適化
入力フォームとは、ユーザーが問い合わせポイントに到達した際に、メールアドレスや氏名などの顧客情報を入力するフォームのことです。フォーム到達後にスムーズに入力が完了するように、「必要最低限の情報のみで送信できるようにする」「面倒な入力を不要にする」といった最適化が求められます。
チャットボットの導入
チャットボットとは、サイトを訪れた際にポップアップで表示され、人の代わりにサイト上で顧客対応をしてくれるツールのことです。「よくある質問」などからピックアップしあらかじめ登録した内容を、ユーザーの質問に対して返答してくれます。ユーザーはサービスや商品に対する疑問点を解消でき、リード獲得に繋がると考えられます。
外部メディアへの掲載
外部メディアとは自社のサイト以外で、ターゲットが関心を持ちそうなメディアのことを指します。外部のメディアでの掲載や施策を行うことで、自社だけでは獲得できない顧客へのアプローチが可能になります。
外部メディアへの広告出稿
外部メディアへの掲載は基本的に有料で、広告出稿としてサービスや商品の情報を掲載します。主な方法としては、記事広告、バナー広告、展示会への出展、メルマガ広告などが挙げられます。
ホワイトペーパー(eBook)
ホワイトペーパー(eBook)とは、企業が提供する製品やサービスに関する詳細な情報をまとめた資料のことで、主にBtoBマーケティングにおいて重要な「リードの獲得」を行うためのマーケティングツールです。主に「サービスや商品の紹介」や「ノウハウやお役立ち情報をまとめた資料」があり、サイト上に掲載しダウンロードを促すことでターゲットの顧客情報を収集することができます。
導入企業の成功事例の作成
実際にサービスや商品を導入している企業の成功事例を作成することで、ターゲットが「どんな課題をどのように解決することができるのか」をイメージしやすくなり、購入や契約への意欲が高まります。
プレスリリース配信
プレスリリースとは企業が発表する公式文書のことで「ニュースリリース(報道発表)」とも呼ばれます。自社のサービスや商品に関する情報や、キャンペーンなどを外部に告知・認知拡大のために拡散する際に有効な施策です。
フォームマーケティング
フォームマーケティングとは、ターゲットとなる企業のサイトのお問い合わせフォームから直接サービスや商品の案内を送信し、リード獲得に繋げる施策です。1社ごとに送信するため手間と時間はかかりますが、リード情報がなくてもアプローチが可能で、運が良ければ決裁者に直接アプローチすることもできます。
オフラインのリード獲得施策
オフラインで行うリード獲得施策には、以下のようなものがあります。
広告出稿
オフラインでの広告出稿とは主に、マス広告(テレビCM、新聞広告、OOH)などを指します。Web広告と比べてターゲティングが難しく費用もかかりますが、潜在層も含めた大勢に広くリーチでき、自社の想定していないターゲットの獲得などに繋がることが可能です。ここでは主要なオフライン広告について解説します。
マス広告(テレビ/ラジオCM・新聞/雑誌広告)
BtoBマーケティングにおいてマス広告を実施するメリットとしては、Web広告ではアプローチできない幅広い世代の人に商品やサービスの認知を広げることが挙げられます。担当者だけでなく、決裁者にも直接アプローチすることができます。
OOH
OOHとはOut Of Home Advertisingの略で、家庭以外の場所で展開する屋外広告を指します。BtoBマーケティングにおいて屋外広告を実施するメリットとしては、マス広告と同様に、Web広告ではアプローチできない層にもアプローチできることが挙げられます。
セミナー開催
BtoBマーケティングにおいて、セミナーの開催はリード獲得や認知拡大に有効です。特に対面式セミナーでは、その場で直接コミュニケーションをとることができ、名刺交換など個人情報の収集も可能です。またセミナー開催により、自社のノウハウを提供することで、ターゲットへのアピールにも繋がります。
展示会への出展
展示会への出展は、セミナー実施と同様にリード獲得や認知拡大に有効です。質の高いリードの獲得に繋がります。
紙のDM送付
紙のDM送付とは、サービスや商品紹介の郵便はがき、チラシ、FAXなどの紙のダイレクトメールを、リード獲得のために送付することです。BtoBマーケティングにおいて紙のDM送付を行うメリットは、メールよりも開封率が高いことや、手元においておけるため担当者や決裁者に伝えやすいことが挙げられます。
リードを育成する
リード育成とは、獲得した見込み顧客の購買意欲が高まるよう、メールや電話で有益な情報やコンテンツを継続的に提供して関係性を深めることを指します。リード育成はリードナーチャリングとも呼ばれます。
メールマーケティング
メールマーケティングとは「メールでアプローチする」マーケティング手法のことです。
メルマガ配信
メルマガ配信とは、獲得したリードにメールを通して継続的にコミュニケーションをとる施策です。ターゲットのニーズが出てきた際に、自社製品を想起してもらえるよう有益な情報を配信します。
ステップメール配信
ステップメールとは、資料請求や問い合わせなどの特定のアクションをした人に対して、あらかじめ設定したスケジュールに沿って自動的にコンテンツが配信されるメールのことです。メルマガとは異なり、購買意欲の向上や販促に適しています。
セミナー開催
リード育成におけるセミナーの開催は、メール配信と同様に、獲得したリードに対して有益な情報を提供し、ターゲットとの信頼関係を築くために行われます。定期的な接触により、サービスや商品の認知が定着し、商談へ繋げることが可能になります。
紙のDM送付
メールマーケティングの代わりに、紙のDMを送付することもリード育成に繋がります。メールより開封率が高いことが紙のDMの特徴です。
リマーケティング(リターゲティング)広告
リマーケティング広告とは、自社サイトを訪れたことのあるユーザーを追跡し、広告配信することです。一度サイトを訪れてサービスや商品への意欲が高いユーザーに、再度アプローチすることで購入・契約に繋げる方法です。
ホワイトペーパー(eBook)
ホワイトペーパー(eBook)とは、企業が提供する製品やサービスに関する詳細な情報をまとめた資料のことで、リード育成にも有効なツールです。ユーザーが求める有益な情報を定期的に作成・提供することで、認知が定着し、信頼関係を築くことができます。
案件/商談化・受注
「案件/商談化」「受注」とは、獲得したリードを育成し、実際に商談や受注につながるようリスト抽出し、営業活動を行うことです。商談や受注の可能性が高い見込み顧客に対して、直接営業活動を行います。
インサイドセールスのアプローチ
インサイドセールスとは、見込み顧客に対して「メール」「電話」「オンライン会議ツール」などを通し、非対面で行う営業活動です。直接訪問して営業するフィールドセールスとは異なり、遠隔で顧客とのコミュニケーションを取ることが特徴です。
導入事例の紹介
商談化や受注のために、サービスや商品の導入事例や活用事例を紹介します。導入事例や活用事例を知ることで、ユーザーはサービスや商品の導入イメージを持ちやすくなります。
顧客維持
顧客維持とは、受注した既存顧客との良い関係を維持し続けるための施策です。BtoBマーケティングにおける顧客維持のメリットは、LTV(顧客生涯価値)の向上やフィードバックの収集が挙げられます。顧客維持はリテンションマーケティングとも呼ばれます。
メールマーケティング
顧客維持におけるメールマーケティングとは、既存顧客に対して、サービスや商品の活用方法や新着情報などを定期的に送付し、顧客維持を行うことです。購入後も定期的にメールを送ることで、顧客との関係性を深めることが可能です。
紙のDM送付
DM送付はメールマーケティングと同じく、顧客との関係性を深めるために、定期的に顧客に郵便はがき、チラシ、FAXなどの紙のダイレクトメールを郵送することです。紙のDMはメールよりも開封率が高いことが特徴です。
会員向けサイト
会員向けサイトは既存顧客が利用できるサイトです。会員サイトでは、サービスや商品のマニュアルやノウハウの情報提供のほか、課題調査や新商品の先行販売、キャンペーン施策などを行うことができ、顧客満足度の向上に繋がると考えられます。
顧客満足度調査
顧客満足度調査とは、サービスや商品を購入した顧客に対し、満足度を把握するための調査を行うことです。満足度調査にはアンケートやユーザーインタビューがあり、その結果を踏まえてサービスや商品の改善やマーケティング施策の改善を行います。
NPSアンケート
NPS(Net Promoter Score)とは、商品やサービスに対する信頼・愛着などの顧客ロイヤルティを測る指標のことです。顧客アンケート調査から「実際にそのサービスや商品を推奨する人がどのくらいいるのか?」を「0-10の11段階」で算出します。
ユーザーインタビュー
BtoBマーケティングにおけるユーザーインタビューとは、既存顧客に対して、サービスや商品について、課題やニーズなどをインタビューする方法です。具体的には「商品を使用した感想」や「購入に至るまでの気持ちの変化」などを訪問、対面、またはオンライン会議ツール上でインタビューし、アンケートだけでは把握しきれない定性的な情報を収集します。
自社の課題にはどんな施策が適切か把握し、目的にあった施策をセレクトしましょう
BtoBマーケティングはBtoCマーケティングと異なり、購買・契約までにかかる期間が長いです。そのため、顧客の購買プロセスに合わせて、適切な施策を実施することが必要です。
施策によっては自社内にリソースが不足していることもあるかもしれません。その際は、代行会社に外注することもおすすめです。依頼の際には、BtoBマーケティングのノウハウを持つ、適切な代行会社を選ぶことが重要です。
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